2024. 古い写真やドローイングを木片やアクリル板に転写し、それらを関連する場所に設置することで、記憶と場所をつなぐインスタレーション。
Production Note
私は母と古いアルバムを見ながら、当時を振り返る。祖父や祖母の若いころ。近所の子たち。当時の祖父は、自分の子もそうでない子も同じように膝に乗せ、抱っこしていた。母はそれを「自分は愛されていない」と思っていたらしいが、改めて写真で見ると、それが勘違いだと気づく。「アイデンティティが崩れたわ…」そう言って母は笑った。
写真の中の幼い母は、右手にお人形を大事そうに抱えて、気をつけの姿勢で庭先に立っていた。「これは、となりのゆみちゃんのお人形。写真を撮るのに貸してくれたのよ。嬉しかった。」私はアルバムの何枚かの写真をドローイングして、木片に転写した。母は、写真を一枚手帳に挟んだ。後になって、その瞬間の動画を撮っておけばよかったと思った。
出来上がった作品をインストールして写真を撮る。家と母の記憶に私の記録を重ねてみるのだ。
実家はずいぶん前に建て替えてしまったけど、庭や路地はそのまま。作品を置いてみると、見たことのない当時の風景が浮かび上がってきた。
(『母と家の記憶』制作記録/2025)




