覚えていない私の記録

Created from 2024 to 2025.
4才のころ、私は名取市(宮城県)に住んでいた。そのころの記憶はほとんどない。数少ない覚えている記憶は、家の前の道路と兄のお迎えに行くほんの数メートル。そして、イナゴを取った田んぼぐらい。
写真の中には、ひとつ上の兄とそっくりな私。写真の中の4歳の私は風呂敷マントで三輪車をガン漕ぎしていた。私はスーパーマンになりたかったのか…と思ったが、三輪車を漕ぐ私の視線の先には、補助輪付き自転車にのる兄がいた。
私は、スーパーマンになりたかった兄にあこがれていたことを思い出す。当時の私にとって、兄はスーパーマンだった。

(『覚えていない私の記憶』制作記録/2025)

震災で大きく変わった名取市の風景をGoogleマップで探しながら、かつての生活の断片をたどる作業を行いました。その中で、過去の写真をもとにドローイングを制作し、それをアクリル板に転写。
ドローイングを通して景色を見ることで、記憶と現実の間に新たなつながりを生み出しました。

この作品は、私自身の失われた記憶を可視化すると同時に、写真が持つ時間の断絶と継続を問いかける試みでもあります。